自費治療は保険診療と何が違うの？その理由と治療内容の違いについても解説①

現在患者様方のデンタルリテラシーも上がってきており自費治療、とくに審美歯科治療のセラミック治療は人気がでてきております。

最近では保険診療でもCAD Inと呼ばれる強化プラスチックの詰め物が保険収載されましたが自費治療と何が違うのでしょうか？
自費治療は費用が高いこともよく指摘されていますが、どのくらいの費用がかかるのかを知っていますか？
この記事では自費治療と保険診療の違いやその理由と自費治療の種類や費用相場を補綴物(詰め物、被せ物)にフォーカスを当てて解説します。保険診療と比較してどちらが良いかを考えてみてください。

自費治療とは？

自費治療は診療の際に、保険診療において国で認められた材料以外のものを用いて治療することを指します。医療保険の適応ではないため全額負担になるため、一般的には高額な治療となってしまうのです。自費治療に含まれる審美歯科治療とは、歯科材料としてセラミック（陶材）やジルコニアを使用する治療方法です。自然な歯と同じような色や、つやを持っているのがセラミックの特徴となっており、ご自身の歯に限りなく近い美しい歯を手に入れることができます。虫歯で削った歯や事故で折れてしまった歯を補ったり、変色してしまった歯を白くするといった目的で実施される自由診療です。

保険診療との違い

保険診療は虫歯や歯周病などの原因があるときに、保険診療として認められている治療法を適用します。治療料金は一部負担で済むので、歯1本あたり数千円程度で治療できるのが一般的です。ただ、保険診療の場合、使用できる歯科材料が限定されています。金属やプラスチック(樹脂)を歯の位置や歯質の失った範囲、かみ合わせの状態などによって選びわけます。

保険適応のCAD InやCAD冠の特徴

最近保険適応になったCAD InやCAD冠は海外では仮歯として用いられている材料となります。近年の貴金属のさらなる希少化や金属アレルギーの危惧を受けて保険診療に収載された白い詰め物となります。強化プラスチックと称されることが多く、セラミックと同等の素材も数量含まれてはいますが、大半がプラスチックであるため吸水による変色や劣化が生じやすく、汚れの付着も多い材料となります。

また小さいブロックを削りだして作成されるため、削りだしの精度に限界があり適合が甘いことが多く、接着剤に依存しなければならないため割れたり脱離することが多いのです。

色も既製のブロック色になるため単色で周りとなじみにくいです。

強度も天然歯の半分ほどのため、選ばれる際には慎重に検討することをお勧めします。

セラミック治療を選ぶメリット

セラミック治療の大きなメリットは、虫歯へのなりにくさです。セラミックは陶材のため汚れが付着しにくく、また付着しても簡単に落ちるのが特徴です。また接着といって歯と限りなく一体化することをコンセプトにしているため隙間ができにくく、2次カリエスになりにくいのも大きなメリットです。そしてプラスチックとは異なり吸水による変色や劣化が起こりにくいため白く美しい歯を長期間維持できることが可能です。自由診療であるため、健康な歯にもセラミックを適用することが可能です。虫歯ではないけれども、より明るく白い歯を求めている人や、笑顔をより自信を持って見せたいという願望から、セラミック治療を選ぶ人も多いのです。さらにセラミックは樹脂よりも耐久性が高く、金属とは異なりアレルギーの心配が少ないという特長もあります。

セラミックの歯科治療の種類と費用相場

セラミック治療の種類はだんだんと増えてきています。使用できるセラミック素材や治療技術が次々に開発されてきたからです。ここでは歯科でおこなわれるセラミック治療の代表的な種類と費用相場を解説します。

オールセラミッククラウン

オールセラミッククラウンは、歯を全周削り純粋なセラミックによる被せ物をする治療方法です。セラミックは割れやすいことが以前は指摘されていましたが、e-maxと呼ばれるガラスセラミックスの透明度の高く、強度の高い素材が安定して供給されるようになったことで、トラブルがほとんど起こらなくなりました。オールセラミッククラウンの費用相場は8万円～13万円です。

フルジルコニアクラウン

フルジルコニアクラウンは人工ダイヤモンドと比喩されることが多く、とても強度が高い材料になります。強度が高いため透明度が低いのが欠点となりますが、逆に土台の色を遮蔽することができるため、金属の土台が入っているケースや土台の歯の色が濃いケースにおいて重宝されます。さらにブリッジなどの耐久性が求められるケースにおいてもしばしば使用されます。また、強度が高いため噛みあう歯を傷つけてしまうのでは？という心配があるかもしれませんが、セラミックよりも噛みあう歯を傷つけないというデータもあります。ジルコニアクラウンの費用相場は10万円～15万円です。

ジルコニアセラミックスクラウン

ジルコニアセラミックスクラウンはジルコニアの表面にセラミックを盛りつけた双方のいいとこどりをした材料となります。前歯で使用されることが多く、ジルコニアの裏打ちの遮蔽性とセラミックの透明性によって天然歯になじむ材料となりますが、費用も少し高くなってしまいます。ジルコニアセラミックスクラウンの相場は13万円～20万円です。

ハイブリッドクラウン(メタルボンドクラウン)

ハイブリッドクラウン(メタルボンドクラウン)は、歯を全周削り被せ物をする点はオールセラミックと同じです。しかし、すべてセラミック素材を使用するのではなく、金属を基盤として表面にセラミック素材を焼き付ける点が違いです。金属の丈夫さとセラミックの美しさを兼ね備えた歯にすることができます。しかし盛りつけるセラミックの厚みが薄くなってしまうため経年的に擦り減ってしまい金属が表面に見えてきてしまう可能性があるのが欠点です。最近では使用される頻度がぐっと落ちてきてしまっています。メタルボンドクラウンの費用相場は7万円～15万円です。使用する金属がゴールドのように高価な素材を使う場合は費用が高くなります。

セラミックインレー・アンレー

セラミックインレー・アンレーは虫歯治療で削った穴を埋めるセラミック治療です。削った部分の型を取り、セラミック素材でインレーやアンレーを作って接着します。透明性が高く天然歯と色のなじみがいいのが特徴です。強度は天然歯とほぼ同等で、汚れが付着しにくいのですが、自身の歯が残っている部分は他の天然歯と同等のため注意が必要です。セラミックインレー・アンレーは6万円～10万円の費用相場になっています。サイズの小さいインレーと比較的大きいアンレーではセラミック素材の使用量が多い分、素材費用はアンレーの方が高くなります。ただ、インレーの方が精巧な技術を求められるので、治療総額としてはインレーとアンレーであまり違いはありません。

ジルコニアインレー・アンレー

ジルコニアインレー・アンレーは虫歯治療で削った穴をジルコニアの詰め物で埋める治療です。削った部分の型を取り、ジルコニアの素材でインレーやアンレーを作って接着します。強度が高く歯ぎしりをしている方やかみ合わせの力が強い方でセラミックが割れる懸念点がある方に使用されることが多いですが、その分透明度が低いため天然歯に比べて白さが浮いてしまうことがあります。セラミックと同等で、汚れが付着しにくいのですが、自身の歯が残っている部分は他の天然歯と同等のため注意が必要です。ジルコニアインレー・アンレーは7万円～11万円の費用相場になっています。

ラミネートベニア

ラミネートベニアは、歯の表側にベニア板のように薄いセラミックの板を張り付ける治療方法です。歯を白くしたいという目的で用いられている審美歯科治療です。この方法は歯をほとんど削らずに済みます。ずっと白いままの歯でいたいという人に人気があるセラミック治療です。治療時間が短い点でも審美目的の治療方法としてよく選ばれています。ラミネートベニアの費用相場は10万円～15万円です。セラミックの使用量は少ないですが、高度な技術を求められることから費用相場は高めになっています。

まとめ

自費治療のセラミック治療は、自然な白さを持つ美しい歯にしたいという人から選ばれている審美歯科治療です。保険診療の金属や樹脂を使う治療とは異なり、セラミックやジルコニアを素材として使用します。最大のメリットは汚れが付着しにくく、天然歯と接着させ適合がよいため虫歯になりにくいことです。またアレルギーのリスクもなくて安心して利用できる治療方法です。クラウンやインレー・アンレーの他、歯を白く見せるのに適しているラミネートベニアも人気があります。セラミック治療は自由診療なので数万円～十数万円の費用がかかりますが、美しい歯をずっと保っていきたい人にはおすすめの治療方法です。