急に歯肉が腫れてしまった。原因と対処法は? - ブランデ歯科・矯正クリニック 三郷駅前

コラム

急に歯肉が腫れてしまった。原因と対処法は?

今までは少し違和感があるくらいや腫れぼったい感じで放っておいてもすぐに治まったのに、急に歯肉から顔にかけて腫れてしまうケースに遭遇するとびっくりしてどうすればいいのかわからないと思います。

本記事ではこのようなケースに遭遇した際の応急処置や原因は何であるのか、何をすればよいのかを詳しく解説します。

腫れてしまった原因は?

腫れぼったさを感じたとき、仕事や家庭の事情で忙しかったり、症状が一時的に軽減されたりすると、そのまま放置してしまいがちです。しかし、腫れが引くまで放置するのは非常に危険です。腫れてしまった原因の同定や適切な対処をしないと症状が悪化してしまいます。それでは腫れてしまう原因として代表的なものを見ていきましょう。

親知らず(智歯周囲炎/歯冠周囲炎)

腫れてしまう原因で多いのは親知らずです。親知らずは歯ブラシが届きづらいことが多く、智歯周囲炎(歯冠周囲炎)が起きてしまうと歯肉の急性炎症が生じます。これを繰り返してしまうと嚢胞と呼ばれる膿の袋を形成してしまい歯肉や顔が腫れてしまうことにつながります。

また、歯肉が腫れてしまうと対合歯が歯肉と噛みあってしまい、さらなる痛みを引き起こしてしまいます。

歯周病

次は歯周病です。歯周病も腫れてしまう原因となります。歯周病になると歯と歯肉の隙間ができるためその間にプラーク(歯垢)や食渣が入り込んでしまい炎症を引き起こします。特に歯と歯の間のコンタクトと呼ばれる箇所に食渣が溜まってしまうとフードインパクション(食片圧入)が引き起こされ腫れと痛みを引き起こします。歯周組織に炎症が波及してしまうと歯の動揺が誘発され、早期接触や咬合性外傷につながり腫れや痛みの原因になるため定期的に検診を受診されることをおすすめします。

歯内疾患(歯髄炎/根尖性歯周炎)

他には歯内疾患も原因となります。

虫歯や外傷によって歯髄が炎症を起こし、歯肉の腫れや痛みを引き起こします。炎症が進行すると、歯髄内の血流が遮断され、酸素や栄養が供給されなくなります。血流が遮断されると、歯髄は徐々に壊死し始めます。

歯髄が完全に壊死すると、神経が機能しなくなり、痛みを感じなくなります。痛みが急に消えるため、一見すると問題が解決したかのように見えますが、歯肉の腫れが残ったり、膿の袋が破けて腫れが消失しても実際には深刻な状態です。壊死した神経は細菌の温床となり、感染が歯の根の周りや顎骨に広がる可能性があります。最終的には骨髄炎などの重篤な感染症を引き起こすこともあるため、なるべく早く対処しなければなりません。

腫れてしまったときの応急処置

急に顔や歯肉が腫れてしまったとき、自宅でできる応急処置を知っていると安心感を得られるでしょう。

以下に、応急処置の方法を紹介します。

患部を冷やす

腫れてしまった場合、まず試してみるべき方法の1つが患部を冷やすことです。冷たいものをあてることで、痛みや腫れを一時的に緩和できます。

保冷剤や冷却ジェルパックをタオルや布で包み、患部の外側に10分ほどあてましょう。冷やすことで痛みが和らぐことがあります。10分程度冷やしたら、20分間の休憩をはさみ、必要に応じて再度冷やします。冷やしすぎると凍傷になる可能性があるため、適度に行うことが重要です。

市販薬を使う

腫れてしまった際に痛みを伴う場合には市販薬を使うことも有効な方法です。アセトアミノフェンやイブプロフェン、ロキソプロフェンなどの鎮痛成分を含む市販薬を使いましょう。腫れに関しては痛み止めでは治まりませんが、歯医者に診てもらうまでのつなぎにはなります。腫れ自体を改善したい場合は抗生物質の服用が必要なことが多いため歯科医院の早めの受診をおすすめいたします。

アレルギーや既往症がある場合は医師に相談することが大切です。また、用法・用量を守らずに長期間服用することは避けてください。

口内を清潔にする

腫れてしまったとき、口が開きづらかったり触ると痛みがあったりして歯磨きが行いにくいと思いますが、しっかりと歯磨きを行って口腔内を清潔に保つことも重要です。口腔内の細菌数を減らして清潔な衛生状態を保つことで、さらなる感染や炎症が悪化するのを防げる場合があります。

腫れていたり痛みのある部位の周辺は敏感になっていることが多いため、柔らかめの歯ブラシでやさしいブラッシングを心がけます。また、歯間ブラシやデンタルフロスを使って歯と歯の間の食渣やプラークを除去しましょう。

腫れてしまったときの間違った対処法

腫れてしまったとき、すぐにでも腫れを引かせたり症状を和らげたいと思うものです。しかし、適切な対処法を知らないと、かえって症状を悪化させてしまうことがあります。腫れてしまったときに避けるべき対処法について詳しく見ていきましょう。

むやみに触れる

腫れている箇所やその周辺をむやみに触れることは避けるべきです。気になって触ってしまう方が多いですが、炎症が起きてしまっている箇所を触ることで刺激が加わりさらなる炎症を引き起こしてしまう可能性があります。また手や指には多くの細菌が付着しているため、万が一傷口があった場合に触れることで細菌が侵入し、さらなる感染を引き起こす可能性があります。

入浴や飲酒などで身体を温める

腫れているときに入浴や飲酒で身体を温めることは避けるべきです。身体を温めることで血流が増加し、腫れや拍動痛(ドクドクする痛み)がさらにひどくなる可能性があります。

また、飲酒によって一時的に痛みを感じにくくなることもありますが、アルコールの作用が切れた後に痛みが増すことがあるため、適切な対処法とは言えません。

喫煙する

日常的に喫煙されている方も腫れてしまっているときは喫煙を避けるべきです。ニコチンは血管を収縮させ、血流を悪化させるため、治癒を遅らせる可能性があります。また、タバコの煙に含まれる有害物質は、口腔内の組織に悪影響を与え、感染のリスクを高めます。

応急処置をしつつ早めに歯科医院を受診しよう

腫れや痛みが突然襲ってきたとき、自宅でできる応急処置は役立ちますが、なるべく早く歯科医院で根本的な治療を受ける必要があります。応急処置を毎日続けると、市販薬の副作用が懸念されるうえに、いずれは歯周組織が破壊されたり、歯の神経が壊死して抜歯せざるを得なくなることも予想されます。

このような事態を防ぐためにも、歯が痛み出したら応急処置をしつつ、なるべく早く歯科医院を受診しましょう。

この記事の執筆者

櫻井 保慶

ブランデ歯科・矯正歯科クリニック 三郷駅前 院長

<所属学会・スタディグループ>
日本歯周病学会 所属
日本臨床歯周病学会 所属
日本口腔インプラント学会 所属
日本小児口腔発達学会 所属
日本歯科保存学会 所属

わせだっこ中央保育園 委嘱歯科医
認定こども園わせだ(わせだ幼稚園) 委嘱歯科医

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